先日、親しい方と話をしていて、
パウロ・コエーリョ著の
『アルケミスト』の話題になりました。
私の大好きな本を思い出し、
これも何かの前兆と思い(笑)
読み直してみました。
夢を旅した少年の話なのですが、
人生について考えさせられる
とても深い本です。
今日は、物語の中にでてくる
ひとつの寓話を紹介しましょう。
(賢者は)
少年に、宮殿をあちこち見てまわり、
2時間したら戻ってくるように言った。
「その間、君にしてもらいたいことがある」と
2滴の油が入ったティー・スプーンを
少年に渡しながら、賢者は言った。
『歩きまわる間、このスプーンの油を
こぼさないように持っていなさい』
少年は、宮殿の階段を登ったり
おりたりし始めたが、
いつも目はスプーンに釘付けだった。
2時間後、彼は賢者のいる場所に戻ってきた。
「さて、わしの食堂の壁に掛けてあった
ペルシャ製のつづれにしきを見たかね。
庭師のかしらが十年かけて作った
庭園を見たかね。わしの図書館にあった
美しい羊皮紙に気が付いたかね?」
と賢者がたずねた。
少年は当惑して、「実は何も見ませんでした」
と告白した。彼のたった一つの関心事は、
賢者が彼に託した油をこぼさないように
することだった。
「では戻って、わしの世界のすばらしさを
見てくるがよい。彼の家を知らずに、
その人を信用してはならない」
と賢者は言った。
少年はほっとして、スプーンを持って、
宮殿を探索しに戻った。今度は、天井や壁に
飾られたすべての芸術品を鑑賞した。
庭園、まわりの山々、花の美しさを見て、
その趣味の良さも味わった。
賢者のところへ戻ると、
彼は自分の見たことをくわしく話した。
「しかし、わしがおまえにあずけた油は
どこにあるのかね?」と賢者が聞いた。
少年が持っていたスプーンを見ると、
油はどこかへ消えてなくなっていた。
「では、たった一つだけ教えてあげよう」と
その世界で一番賢い男は言った。
「幸福の秘密とは、
世界のすべてのすばらしさを味わい、
しかもスプーンの油のことを
忘れないことだよ」
あなたはこの話に何を感じましたか?
最後までお読みいただき
ありがとうございます。