自己実現のための教訓(その1)

マインド

最近、心理学に興味があり
名著と呼ばれるものを
読んでいます。

巷の読みやすい自己啓発本には、
実は何十年前に書かれた名著に
影響を受けているものが
多くあります。

原著を読むことで
一流の心理学者と対話できることは
本当にありがたいことです。

さて、今回は、
現代のカウンセリング方法の
創始者として有名な
アメリカの臨床心理学者
カール・ロジャーズ博士を
取り上げたいと思います。

彼が出てくる以前の
臨床心理学では、
心理相談の対象者を
患者(patient)と呼び、
物体のように分析し、
治療する対象としてしか
見ていませんでした。

彼は、対象者を
クライエント(来談者:client)
と呼びました。

患者をコントロール
するのではなく、
クライアントの話に
無条件に耳を傾ける
「クライアント中心療法」を
生み出し、
現代のカウンセリングの
基礎になっています。

彼の功績が偉大なのは
いうまでもないのですが、
私が興味を惹かれたのが、
彼が書き記した
「私が学んできた大切な教訓」
です。

これは、
彼が数百、数千人の
心理的な苦悩を抱える
クライアントと向き合い、
治癒していく過程で学んだ
人間の本質に関する教訓で
あることは間違いありません。

また、
彼の提唱したものは、
従来の心理学の権威に
反抗する形でもあったので
大変な気苦労がありました。

この教訓
聞きたいと思いませんか?

ではいきましょう。

(教訓その1)
「他者との関係において、
私があたかも
私自身でないかのように
振る舞っても、
それは結局援助にはなりえない」

「例えば、実際は、
怒っていて批判的なのに、
穏やかで楽しそうにしている。
本当は答えを知らないのに
知っているかのように振る舞う。

その瞬間、
実際は敵意を感じていながら、
人を愛しているそぶりを見せる。

本当は自信がなくておびえているのに、
確信に満ちているかのように振る舞う。
それらは結局、援助的ではありません。」

簡単にいうと、
心の底では違うことを考えながら、
それと食い違った行動をすることは、
他人を助けることができないし、
建設的な関係も作れないという意味です。

自分を良く見せようとか、
守ろうとして、こうなることは
良くありますよね。
彼も、この教訓を生かしきれていない
と告白しています。

教訓を知っておくだけでも
行き過ぎないように
歯止めがきくのでは
ないでしょうか。

(教訓その2)
「自分が自分自身に受容的に
耳を傾けることができるとき、
そして、自分自身になることが
できるとき、
私はより効果的でありうる」

彼は
クライアントに向き合う時、
自分が感じているもの
(怒り、拒否、愛情、
退屈、不安など)に、
気づくことができるように
なったといいます。

そして、
自分は
まったく不完全な人間で、
いつもうまくいくわけではない
ということを
容易に受け入れることが
できるようになったといいます。

彼が自分自身の体験や
クライアントから学んだことは、
「私たちはあるがままの自分を
完全に受け容れるまでは、
変化することができず、
今の自分のままに
とどまってしまうのです。

もし、私たちが完全に
自分を受け容れるならば、
ほとんど気づかないうちに、
変化が生じてくる」
ということです。

他人に対する
肯定的な感情だけでなく、
否定的な感情も
自分の一部として
すべて受け容れたとき、
自分と他人との関係は
あるがままになり、
成長し変化していきやすく
なりうるといいます。

我々は、他人と向き合う時
否定的な感情も抱きます。
これは、決してダメなことでは
ありません。
また、無理に消そうとする必要も
ありません。

それを事実として受け容れることが
大事なのですね。
それも自分を作っている
一部なのだと。

「認めたくないものだな」って
シャアのように呟きたい
ですけどね(笑)

彼の教訓は
カウンセラーでなくても
役に立ちます。
なぜなら、我々は、みな
他人との関係を
結ぶことによって、
生きているからです。

自分はもちろん
周りにいる人が
成長し変化するために
彼の教訓を参考にしては
いかがでしょうか。

これから数回に渡り
彼の教訓を取り上げていく
予定です。

最後までお読みいただき
ありがとうございます。

(参考文献
『ロジャーズが語る自己実現の道』
C.R.ロジャーズ著
岩崎芸術出版社

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