禅と平和

マインド

お盆になりましたね。
8月になると原爆や終戦に
関する話題も良く耳にします。

2020年1月28日号『「今」に集中すること』でも触れましたが、
禅をアメリカで広めた鈴木俊隆という
老師がいました。

彼の著書である、
『禅マインド
ビギナーズ・マインド』は、
スティーブ・ジョブズも愛読していたと
いわれるだけあり、興味深い本です。

最近、読み返し、
心に残るエピソードがあったので
紹介します。

老師がアメリカのサンフランシスコに
到着した1960年代は、
いわゆるヒッピー文化が始まり、
ヴェトナムの反戦運動も盛んでした。

老師は、禅センターを開き、
青年たちに禅を教えていました。

ある晩、一人の弟子の青年
(ジョン)が、
うしろのほうから質問しました。

「海の向こうで、戦争をしているのに、
私たちは、ここでなにをしているんですか?」

ジョンは、カルフォルニア大学で
反戦運動に参加しており、
その日も反戦デモが予定されていました。

老師は聞き取れなかったので、
ジョンは繰り返しました。

「海の向こうで、戦争をしているのに、
なぜ、ここでみな集まっているのですか?」

老師は微笑み、ジョンも微笑みました。

突然、猫がねずみを襲うよりも素早く、
老子は、上座から飛び降りて、
ジョンの後ろに回り、
警策(眠気をさまし、怠りを励ます木)
を伸ばして、
大声で「合掌!」といいました。

それから何度もその弟子を打ち、
叫びました。
「愚か者、愚か者、
時間を無駄にしておる」

何度もジョンを打ったので、
ジョンは前のめりに
倒れてしまいました。

「夢を見ているのだ!
夢を見ているのだ!
なんの夢をみているのだ!?」

師が声を荒げたことを
一度も聞いたこのなかった聴衆は、
驚愕のあまり口もきけませんでした。
師は、息切れをして、
ほとんど聞き取れない声でいいました。

「怒っているわけではない。
ただ・・・」
息をついでから、
「自分の靴の紐も結べないのに、
なにをしようというのだ」

今でも、
世界中のどこかで戦争が続けられ、
亡くなる人は後を絶ちません。

平和運動をはじめ、
何か行動を起こすことも大事ですし、
それはそれで尊いと思います。

私は、老師は、
「自分の精神性を高めて
自分の周りに対してできることを
していきなさい」
ということを言いたかったのでは
ないかと思います。

あなたの
精神性が高まり、
心が平穏になれば、
少なくとも
あなたの周りの人は
平和な気持ちになります。

そういった連鎖が
平和に貢献することも
あるのではないでしょうか。

あなたはどうお感じになりましたか。

最後までお読みいただき
ありがとうございます。

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