業界の常識を疑う

マーケティング

久しぶりにビジネスの話を
したいと思います。

長年お手伝いをさせていただいている
飲食業の社長から、
本をいただいたので読んでみました。

『焼肉一代』 新井泰道 著

著者の新井氏は
高級焼肉で有名な
叙々苑の創業者です。

本をいただいたその社長は
新井氏と親交があり、
その凄さを聞いていたので
どんな経営をされているか
非常に興味がありました。

叙々苑というと
芸能人御用達の焼肉屋として
名前を聞いたことがあると
思います。

私は、10年以上前に
いったことがありましたが、
自分でお金を出さず、
ろくに観察もしなかったので
あまり覚えていません。
もったいないことをしました(笑)
今度はしっかり観察してきます。

同社は、
全国に直営店69店舗、
従業員3,700人と規模です。
高級焼肉店のジャンルでは 
随一ではないでしょうか。

著書を読んでみての感想ですが
3つの点ですごいと思いました。

1 料理人としての努力、研究がすごい

2 顧客に対する観察力がすごい

3 経営者としての哲学、理念がすごい

1は例えば、焼肉屋のメニューに
「タン塩」は今や定番ですが、
昔はこの部位は使わなかったそうです。

これをメニュー化し、
レモンをつけて食べる方法を
広めたのは同社だそうです。
他にも同社発祥の定番があり、
おいしくて独自性のある料理に
対する研究心がすごいです。

1だけだと美味しい料理は
出すけど町の焼肉屋で
終わっていたかもしれません。

2は、高級焼肉というジャンルを
作った際の顧客の観察力がすごいです。

1970年代では、
焼肉の男性客と女性客の割合は9対1
だったそうです。
しかし、六本木という立地では、
女性客の開拓が重要と考えていました。

そこで、
煙やにおいがつかない店舗設計や
美しい料理の盛り付け、一流ホテルの
雰囲気や接客を提供したといいます。

なんと、女性用化粧室には
鼻が高く映るように斜光ライトを
配置したそうです。

鏡を見て綺麗に映っていれば
気分がよくなり注文も増えると。

まさに業界の常識など気にせずに、
ターゲット顧客を徹底して研究し、
満足度を高める取り組みがすごいです。

3は、従業員を大切にする考え方が
すごいと思います。
「値上げは、従業員のため」
と言い切ります。

一般的には値上げができず、
従業員の賃上げができないという
企業が大半だと思います。

それを様々な工夫と努力によって
価値を高めて値上げをすることにより
実現してきました。

長期的に安心して働ける職場を
提供することで、
従業員の結束を固めました。

これは本に書かれていないですが、
正社員約1,000名のうち、
4割が職人だそうです。
これも業界の常識とは違います。

一般的には、セントラルキッチンで
職人が加工し、店舗では職人でなくても
調理できるような仕組みをとり、
人件費を抑えるため職人や正社員を
なるべく少なくします。

常識と逆をいくのも、
同社の強みを実現するための
人事戦略ということができます。

いかがだったでしょうか?

常識を疑い、自分の頭で考え、
しかもそれが顧客視点で
なされていることが
ビジネスを成功させる要因
だと思いました。

そこにしっかりとした
経営哲学が加われば
規模を成長させられるでしょう。

特に、
飲食業・サービス業に関わる方、
経営者には参考になると思います。
ぜひ読んでみてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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