忘れがちなこと

マインド

時期外れですが、
本で見つけたクリスマスの話を。

(これは父から聞いた話だ。
1920年代の前半のシアトルで
家族で過ごしたクリスマスの
出来事である。
父は7人兄弟の一番上だった。)

「家計は深刻な打撃を受けていた。
父親の商売は破綻し、求職はほぼゼロ、
国中が不況だった。

その年のクリスマス、
わが家にツリーはあったが
プレゼントはなかった。
そんな余裕はとうていなかったのだ。

クリスマスイブの晩、
私たちはみんな落ち込んだ気分で
寝床に入った。

信じられないことに、
クリスマスの朝に起きてみると、
ツリーの下にはプレゼントの山が
積まれていた。

朝ごはんのあいだ、
私たちは何とか
自分を抑えようとしつつ、
記録的なスピードで食事を終えた。

それから、浮かれ騒ぎが始まった。
まず母がツリーの下に行った。
期待に目を輝かせて取り囲む
私たちの前で包みを開けると、
それは何カ月か前に
母が「なくした」古いショールだった。

父は柄の壊れた古い斧をもらった。
妹には前に履いていた古いスリッパ。
弟の一人にはつぎの当たった
しわくちゃのズボン。

私は帽子だった
―11月に食堂に忘れてきたと
思っていた帽子である。

そうした古い、
捨てられた品一つ一つが、
私たちにはまったくの驚きだった。
みんなゲラゲラ笑うものだから、
次の包みを開けることも
ろくにできないありさまだった。

でもこれら気前よき贈り物は
一体どこから来たのか?

それは弟のモリスの仕業だった。
何カ月物あいだ、なくなっても
騒がれそうにない品をモリスは
こつこつ隠していたのだ。

そしてクリスマスイブに、
みんなが寝てからプレゼントを
こっそり包んで、
ツリーの下に置いたのである。

この年のクリスマスを、
我が家の最良のクリスマスの一つとして
私は記憶している。」

いかがでしたか?

ときには、
有るものに目を向けることも
大事ですよね。

最後までお読みいただき
ありがとうございます。

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